しばらく前から低価格のNASが出てきて、低価格の割には保存できる容量も多いし、なにより簡単に設置できるため、家や会社で導入している人も多いと思います。10万円以下で数100GB、あるいは数TBもの容量を備えたものもあります。
これを高機能化したものとして、RAID機能を持ったNASも増えています。RAID 1やRAID 5で信頼性の向上を宣伝しているものも多くあります。ただ、あくまで個人的な感覚なのですが、数万円程度の低価格NASに付いているRAID機能はほとんど意味がないと思います。
というのも、NAS本体の信頼性が、内蔵しているHDDの信頼性よりも、かなり低いように思われるからです。つまり、NASに内蔵しているHDDが壊れて交換するよりも、NAS本体が壊れる、あるいはNAS本体のソフトウェアのバグでデータが丸ごと消えるというケースの方が多いということです。RAID 1やRAID 5を使うことで、HDDの故障にはある程度耐えられますが、本体の問題にはRAIDをもってしても対応できません。
そしてデータが消えてしまった場合には、メーカーは何もしてくれません。低価格NASには損害を補償してくれるようなサービスは付いていません。つまり、特殊な使い方をするわけでもなく普通に使っていてデータが消えた場合でも、データをすべて消して初期状態に戻すことしかできないのです。もし仮にメーカーが修理に対応してくれるとしても、結局は同じことをするだけですので、データはすべて消えると思ってほぼ間違いありません。修理が終わればNASは元のように使えるようになりますが、データはすべて失ってしまうのです。つまり、お金を出してRAIDを導入しても、HDDが1台壊れて交換するよりも先に、本体の問題でデータがすべて消える可能性の方が高いということです。
RAIDにお金を使うくらいならば、「HDDを1台だけ内蔵したNASを2台」あるいは「USB HDDにバックアップする機能を持ったNASと外付けのUSB HDD」購入し、片方のHDDをバックアップにして定期的にデータの同期を取る方がお勧めです。予算はRAID機能付きNASとほとんど変わらないでしょう。バックアップのHDDを確保した上で、さらに予算があるようであれば、RAID付きのNASを検討するのも良いと思います。
この件をひとことで言うならば「RAIDはバックアップの代わりにはならない」ということです。ネットワークシステムの管理者にとっては常識でしょう。でも一般ユーザーには知らない人が多いと思います。RAIDがあるから大丈夫と思っていたシステムがあったら、早めに見直した方がいいでしょう。